弓ヶ浜半島
白砂青松百選にも選ばれている弓ヶ浜半島は、全長約20kmある砂州です。国引き神話では、島根半島を引き寄せるために使われた綱のうちの1本が弓ヶ浜半島で、これをつなぎ止める杭が大山であるとされています。
半島ですから、もちろん地続きになっているのですが、じつは昔は島だった時期があったのです。
奈良時代に書かれた島根県東部の地誌『出雲国風土記』にある国引き神話をみると、三穂之崎(今の美保関)を引き寄せた綱が「夜見嶋」であると書かれています。これは、風土記が書かれた奈良時代には弓ヶ浜半島は島状になっていたことを示しています。
弓ヶ浜半島は日野川によって運ばれた土砂が堆積したものですので、奈良時代以降の堆積によって陸続きになっていったということになります。
ところで、現在も残る「夜見」という地名にも神話の世界が関係しています。
日本神話には「黄泉国(よもつくに・よみのくに)」や「根の国」がしばしば登場します。死者の国のことですが、この地域は黄泉と深い関わりがあります。たとえば、東出雲町には黄泉国と現世との境にあたる「黄泉平坂(よもつひらさか)」とされる場所があります。また雲南市と奥出雲町の境にある天狗山は、昔「熊成峰」と呼ばれていて、これも黄泉国と関わりがある地名です。そして弓ヶ浜半島には「夜見(よみ)」という地名が残っています。
当時の人々にとって、この地が黄泉国に近いところだったと思っていたのかもしれません。